ホンカラワット

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【書評】 ぼくは明日、昨日のきみとデートする 七月隆文

 

 2015年「10~20代女性が読んだ文庫本」第一位

 2016年12年映画化

  七月隆文としてブレイクした作品

 

 

 舞台は京都の大学の多い地域だ。

 三条や出町柳叡山電車、鴨川などの単語に親近感を覚える人なら、是非読んでみて 

 ほしい。懐かしい思いを感じられるだろう。

 こういった細かい単語・地元トーク的なものが出てくる小説は、著者がその辺りで長

 く生活をしており思い入れがある場合が多い。七月さんも例にもれず、出身大学が京

 都精華大学であった。

 「Astral」という作品がデビュー作で、それからライトノベル含め多くの作品を執筆

 している。今田隆文としてデビューし、一年後に現在の七月隆文として活動してい

 る。今作までは知名度の高い作品はなかったが、今作口コミを中心に(読書メーター

 や書店員オススメなどの影響か)広がり、100万部を突破するに至った。

 映画化や漫画化もされているので、興味のある方はぜひ。

 

 内容はもちろん、がっつりとした感動系の恋愛もの。

 タイトルで内容が想像できる人は出来るだろうけれど、最近感動できていない、とき

 めいていない、、という人は読むと良いのでは。

 

 

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【書評】 本音で生きる 堀江貴文

  特徴

 オリコン2016年上半期“本”ランキング「新書部門」一位

 2015年12月15日 初版第一刷 

  あらすじ

以下の章展開を基に、あるがままに生きることについての考えが記されている。

序章 なぜ、本音で生きられないのか

1章 言い訳をやめる

2章 バランスをとるな!

3章 本音で生きられない理由は「自意識」と「プライド」である

4章 すべてを最適化せよ

5章 本音で生きるために必要なこと

 

  堀江氏の数多い書籍

 

堀江氏はライブドア時代から書籍を積極的に出版している。2003年の「100億稼ぐ仕事術」が著書では一番古い。

 

堀江氏は、自身の仕事の時間の確保のために、「外注」を積極的に活用する

例えば、家事代行やタクシー、外食のことを指す。

また、書籍の中で触れられているが、本を執筆する際にもプロに依頼しているそうだ。自身が文を書くテクニックを身につけるより、餅は餅屋という発想だろう。

 

それが忙しい中で数多くの書籍を出版できるタネである。

 

  ”起業”に限らない、普遍的な内容

 堀江氏の書籍は”起業のススメ”的な色を帯びている。この本も例に漏れないが、割と普遍的な悩みに対して、という方向に歩み寄っている感じはある。

 

高すぎるプライドは持たない、出来ない言い訳は探さない、無駄を省く、寝る時間を確保することは時間の節約である、etc... 割と、起業に留まらず、日々を過ごしやすくするためにはどうすれば良いのか、という内容で読める。

 

思考の深さも深いので、考え方のベクトルが同じであっても「ああ、そういう手段もあったのか」という気づきも与えてくれるだろう。

 

少し極端な部分もあるが、何度か読み直したいと思える本。

 

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【書評】 99%の会社はいらない 堀江貴文

  特徴

 Amazonベスト新書部門一位(2016年8月31日現在)

 2016年7月20日 初版第一刷 

  あらすじ

以下の章展開を基に、堀江氏の働き方についての考えが記されている。


第1章 日本の会社はおかしいと思わないか?
第2章 仕事のない時代がやってくる
第3章 だから「遊び」を仕事にすればいい
第4章 会社ではない新しい組織のカタチ
第5章 会社に属しているあなたへ 

  感想

起業のススメ、という表現は堀江氏本人はおそらく好まない。

しかし有り体に表現するとそういうことになる。

好きなことを仕事にすることが最も仕事の能率が上がる。皆が好きなことが出来ている会社であれば、精神的なマネジメントなど必要がない。

理論的にはその通りだろう。現実的ではないが、仕事に意欲的な人が読むと人生の指針を考えるうえで非常に役に立つ本なのではないか。

個人的に少しインパクトを受けたのは、この一文。

 

一般的に、「会社が大きいほうが、大きいことが出来るんじゃないか?」という勘違いがある。

 

堀江氏の理論は、意外とイメージは出来るから凄い。私個人としては、お勧めの一冊である。

 

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【書評】 コンビニ人間 村田沙耶香

 

  特徴

 第155回芥川賞(2016上半期)受賞作

 

  あらすじ

 自分に素直に生きる主人公は、幼いころから周りに問題児扱いされていた。

その内主人公は自分の意見を言わないことが一番だと悟り、口数が少なくなっていく。

就職活動の際も内定を取ることが出来なかったが、たまたま家の近くに新しくオープンするコンビニでバイトとして働けることになる。

そこでは多くのマニュアルがあり、それに従って行動すれば、これまで問題児扱いされていたのが噓のように、普通の人として扱われた。

それをきっかけに行動をマニュアル化し、問題なく生きれるようになりつつあった主人公だが、36歳未婚、コンビニバイト18年目という経歴から徐々にマニュアルが通用しなくなってゆく。

そんな中、コンビニで問題児が新入りとして働きに来る。いわゆる社会不適合者である。彼と、主人公の周りの人たちと、自分と、誰が正常で誰が異常なのか。

 

  感想

受賞作なだけあって割と深いところまで心理描写がなされている印象であった。その点純文学らしい。

また、何が正常で何が異常かという問題は誰もが共感できる内容だろう。

言い換えれば、人間関係のわずらわしさを上手く表現できていると思う。

 

個人的には人との違いを”わずらわしい”と落とし込む描写はあまり好きではないが、人間関係が多かれ少なかれわずらわしいと感じる時には、良い慰みとなるのではないだろうか。

 

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